平日の朝は娘を学校まで送り届け、それから出社する。
秋らしい高く澄んだ青空が広がるすこし肌寒い朝、車を発進させてわたしは呟く。
「こういう日は山に登りたいね」
けれど娘は言う。
「わたしはキャンプに行きたいな」
どうして娘も賛同してくれるだなんて思ったのか。
こちらに同意してくれるだろうと期待したはずが、ぎゃくにわたしが娘の言葉に思わず頷く。
だって娘はこうも言う。
もう寒いから霜が降りるでしょ。テントも少し白く凍って。外に出ると空気が気持ちいいの。空も青空で。それがいいの。
ああ。
ほんとうにそう。
ママもそれが好き。大好き。
朝の凍てつく澄んだ空気。
テントも色とりどりの落ち葉もうっすら霜でお化粧して。
はやく行きたいね。
秋キャンプ。
(終)